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事故による脳損傷への新治療です

[2025.05.12]

 

脳損傷は、随意運動の制御に不可欠な脳領域である運動皮質と筋肉との間の神経接続を障害する可能性があります。これらの接続が弱まると、筋肉の効果的な活性化が妨げられ、腕や手の部分麻痺や完全麻痺などの運動障害が生じます。

脳深部刺激治療(DBS)とは、Deep Brain Stimulationの略で、脳の深部を電気刺激することで、薬では効果が得られない パーキンソン病 、振戦、 ジストニア などの不随意運動症の症状を改善することができます。

運動制御の重要な中継ハブとして機能する運動性視床核と呼ばれる部分をDBSで刺激すると、物をつかむなど日常生活に不可欠な動作を回復できるのです。サルは人間と同様に、運動皮質と筋肉が神経経路を通じて連携しているため、刺激を加え始めるとすぐにサルの筋肉の活動性と握力が著しく改善することが確認されました。

両腕の高度の麻痺をもたらした脳損傷に起因する腕の震えを改善する目的で、DBSの植え込み手術を予定していた人間のボランティアを対象に、サルの実験の時と同じ設定でDBSを行った結果、コップを取ろうと手を伸ばす、つかむ、持ち上げるといった動作を、刺激を加えなかった場合よりも効率的かつスムーズに行えるようになることが示され、人間でもDBSにより運動の範囲や強度が改善することが確認されたのです。

DBSは多くの患者にとって人生を変える治療法となってきたのですが、これからは更に対象疾患が増え世界中の数百万人もの人々に新たな希望を与える治療法だと感じています。

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