Ⅱ型糖尿病(DM) のインスリン抵抗性が,認知症発症にも関与しています
インスリン受容体の存在がアミロイドベータプラークの除去に関与する主要な酵素と正の相関があ
ることがわかってきました。アミロイドベータタンパク質が(1)インスリンの結合を妨げ、(2)血液
脳関門の受容体の分解を促進することによって、インスリン抵抗性に寄与する可能性があると推測さ
れています。アルツハイマーは脳血管系のインスリン結合部位の減少と対応しているようなのです。
これはアルツハイマー病の有望な治療アプローチを示していて、血液脳関門を通過することなく、血
管内のインスリン受容体をターゲットにした薬物が脳の活動に影響を与える可能性があります。
インスリン抵抗性が認知機能の低下にどのように寄与するのか、またこれらの受容体を刺激するこ
とで症状がどのように改善されるのかはまだよくわかっていないながらも、アルツハイマー型認知症
がⅡ型DMのように管理可能な状態になる未来に一歩ずつ近づいています。
最終糖化産物は細胞の酸化や慢性炎症に関わり、従って人の老化の大きな原因になっていることか
らも、糖代謝の異常が老化の集大成とも曰える認知症に繋がるのは自明です。そして今日本ではその
6割以上を占めているアルツハイマー型認知症へと関連するのは、自明の理と考えられます。